2011年06月19日
作品304 ドン日記 「ガブッといくろ!!」

--- 「毛繕い」の巻 ---
梅雨の真っ只中

雨で濡れ、冬毛が浮いて来ていたドンちゃんの毛繕いをする様、キャサリンは、プリンスに言った

ドンちゃんの毛繕いっ


何せ、ドンちゃんはじっとしていた試しが無い

しかも、つい半年前にはまだ、ドンちゃんにからかわれていたプリンスでは尚更だっ

何て、思っていた。
それでも、プリンスは文句の一つも言わず、ドンちゃんの毛繕いに犬舎に行った

でっ、しばらくしてから、『やけに静かやなぁ


No.304-① [ガブッといくろ!!] BoB Project 2011
ドンちゃんはジッとしてご機嫌に毛を取ってもらい、プリンスは鼻歌まじりに毛繕いしていたっ

一体、この半年でドンちゃんとプリンスの関係はどうなったのか?
また、
ドンちゃんの衰えと、プリンスの成長が交差しているのか・・・
ドンちゃんの半年って、人間の生活より早く命を削っていると改めて痛感し、
わたくしはたそがれていた


わたくしがたそがれているその横を通り、
キャサリンは犬舎の側面に位置する窓を開け
『あれ、ドンちゃん! かしこなって
プリンスやと、ジッーとしてるんかいっ』
と声をかけた

そして、
何の変化も反応も無いのでキャサリンは面白くなかったのか去って行った

No.304-② [ガブッといくろ!!] BoB Project 2011
よっぽど、ドンちゃんは気持ちよかったのだろう。瞬時に、キャサリンの声は耳に入ってなかった

しばらくして、ドサっと言う物音がし
ドンちゃんを見ると、

No.304-③ [ガブッといくろ!!] BoB Project 2011
キャサリンの声を思い出したかのように、いつもの毛繕い時の狂った顔になり、
狭い犬舎内を走りまわっていた

その時の、プリンスの対応はやけに冷静で動じていなかった

やはり、
ドンちゃんとプリンスとの関係が移り変わろうとしている・・・